髪の悩み<白髪編>

 

 

年齢を重ねるとともに、目立ちはじめる白髪。特に女性は白髪にとても敏感です。老化現象のひとつである白髪ですが、その原因は謎が多く、根本的に解決する方法はまだ確立していません。

 

白髪の原因は色素幹細胞の枯渇説

マウスによる実験で、黒髪の色素(メラニン色素)を作る色素幹細胞がDNAの損傷を修復できずに自己複製しないで、すべて分化(それぞれの細胞が役割に見合う機能を身につけていくこと)することがわかりりました。その結果、色素幹細胞が枯渇して色素を作る細胞がなくなり、白髪になるとの報告があります。しかし、全てのケースに当てはまるとは言い切れません。

 

色素幹細胞がなくなると毛髪の色素もなくなる

幹細胞は、すべての細胞のもとになる細胞で、自分自身を無限に複製できる能力と、特殊な機能を持つ細胞へと分化する能力を持っています。毛嚢(もうのう)にある色素幹細胞は、自己複製できるだけでなく、メラニン色素をつくる色素細胞(メラニン細胞)へと分化することもできます。白髪は、色素幹細胞が紫外線などの影響でDNAが損傷を受けることが原因で発生しDNAの損傷を修復が可能でないと判断すると自己複製機能が失われ、すべて色素細胞に分化します。色素細胞は、毛髪の成長期にはメラニンを生成し続けますが、色素幹細胞が複製できないため、その数は減少します。次に続く色素細胞がなくなっていくことで、白髪が増える原因になります。

 

加齢とともに複製・分化の量的バランスの均衡が崩れる。

幹細胞の枯渇とヒトの早老症原因遺伝子が、幹細胞の働きを監視する機能を持ち、幹細胞の質を維持することで、幹細胞が分化して枯渇してしまわないように働いていることも明らかになっています。つまり、加齢とともにこの監視機能が失われることで、複製・分化の量的バランスが崩れてしまう可能性があるということです。この監視機能の働きを維持する方法が見つかれば、黒髪を保てることにつながります。白髪の原因が解明されている中で、今後は新しい白髪の治療法の確立につながることと、アンチエイジングや再生医療への研究も進んでいます。

 

白髪を根本的に解決できるようになるのはかなり先の話

2002年に黒髪の色素を作る色素幹細胞を初めて発見し、2005年には色素幹細胞が枯渇すると白髪になることを発見しており、2009年ようやく白髪になる仕組みが解明した状態で、マウスによる実験段階でありヒトへの応用はこれからという段階です。また、ひとつの薬が使えるようになるまでに、基本的には10年以上かかります。もし今すぐに、白髪に効く薬が開発されたとしても、私たちが頻繁に購入できるようになるまでは、さらに50年以上はかかることになります。

 

まだまだ、白髪に関しては不明な点がいくつもありますが、確実に言えるのは短期間で白髪を元に戻す方法はないということです。
白髪が復活するなどの宣伝をしている商品があれば、1〜2週間で結果が出るような期待を持ってはいけません。長期間のケアを心がける必要があります。