実は違う!男性と女性の髪が薄くなる原因とメカニズム

 

 

一昔前であれば、女性は薄毛の心配はしなくて良いという雰囲気がありましたが、女性が社会で元気に活躍するようになった近年は女性の髪の問題も強く意識されるようになりました。

 

男性も女性も薄毛の悩みを持つということに変わりはないわけですが、男女の薄毛は原因やメカニズムに違う点がいくつかあります。

 

本章では男女の髪が薄くなる原因やメカニズムについて解説していきます。

 

 

■男性が薄毛になる仕組み

 

男性の薄毛は、体内で生産されるテストステロンという男性ホルモンが加齢に伴って別のホルモンに変化することで起きます。

 

テストステロンは薄毛を引き起こすことはありませんが、このホルモンは思春期以降、ジヒドロテストステロン(DHT)という活性度の高い男性ホルモンに変換される割合が高まります。

 

この変換作業に関わるのが「5αリダクターゼ」という体内酵素で、生産されたDHTがヘアサイクルを乱すことで薄毛が進行していきます。

 

通常のヘアサイクルでは概ね3年から7年程度の成長期の間に髪の毛は太く強く成長することができますが、DHTは毛根に脱毛信号を発して成長期を極端に縮めてしまいます。

 

そのため髪は成長する機会を失い、細い毛髪が増え、抜け毛も細い毛が多くなります。

 

さらに進むと地肌が見えるようになり、薄毛となって視認されます。

 

男性の場合特徴的なのは、薄毛の進行が主に生え際や前頭部、頭頂部から始まることです。

 

女性はこのような特徴的な発現形態をとらないので、見た目には男性と女性の薄毛は全く違うものになります。

 

 

■女性が薄毛になる仕組み

 

女性の薄毛の仕組みは原因が一部共通しているものの、薄毛進行のメカニズムは男性ほど単純ではありません。

 

女性の薄毛は主に40代後半あたりから、いわゆる更年期を迎えた頃に意識されることが多くなります。

 

加齢による女性の薄毛も実は前出のDHTの影響によるものですが、女性の場合は常に女性ホルモンがDHTの作用をけん制し、減弱してくれます。

 

女性ホルモンのうちエストロゲンは髪に艶を出したりハリを与える作用が、プロゲステロンは髪の成長期を長く保ち、太く強い髪に成長させる作用があります。

 

女性も男性ホルモンを少量分泌しているものの、若いうちは女性ホルモンの影響が圧倒的に大きいので、DHTの影響は問題になりません。

 

しかし更年期以降女性ホルモンの分泌量が減ることで男性ホルモンの影響力が増し、薄毛になることがあります。

 

若い女性でもストレスや不摂生などでホルモンバランスが崩れると、同様に薄毛を発生させることがあります。

 

女性の薄毛もDHTの影響が関与している点では共通していますが、男性と違って生え際など特定の部位から薄毛が始まるわけではなく、頭髪が全体的に少しずつ薄くなっていくという特徴があります。

 

例えDHTの影響が増してきたとしても、なお女性ホルモンがその影響をけん制してくれることから、男性のように特定箇所から目立って薄毛が進行することなく、全体的に少しずつ症状が進む「びまん性脱毛」となるのが女性の薄毛の特徴です。

 

 

■女性は個別的要因が複雑になる

 

女性の場合は個別事案で男性よりも要因が複雑に絡むことが多くなります。

 

個人差はありますが、女性は男性よりもストレスの影響を受けやすく、髪の生育に悪い影響を及ぼしやすいことや、パーマやヘアカラーなどで頭皮に負担をかけるシーンが多いことなど、個別的要因が男性よりも複雑です。

 

ダイエットなどが影響していることもあるので、薄毛治療を手掛けるクリニックなど実際の治療現場では、医師も女性の薄毛については原因を探るためのカウンセリングに時間をかけることが多いです。

 

共通点はあるものの、女性の場合は色々な要因が関与するケースが多い分、男性よりも原因解明が難しくなるのが難点です。